基本情報技術者試験の試験内容は?おすすめの勉強法は過去問の活用!
INDEX
目次
- 基本情報技術者試験とは?どんな人が受けるの?
- 基本情報技術者の資格を持つメリットとは?
- 科目A(午前)試験と科目B(午後)試験って何?
- ITパスポートがなくても受けられる?受験資格はある?
- 基本情報技術者試験は通年開催、全国で受験可能
- 基本情報技術者試験の合格率と合格基準
- どれくらい勉強が必要?
- 基本情報技術者試験の申込方法
- 試験に向けての準備〜試験当日の流れ
- 合格への近道は、ズバリ過去問の活用!
- 基本情報技術者試験のまとめ
さっそく問題を解く
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基本情報技術者試験とは?どんな人が受けるの?
ITエンジニアの登竜門
基本情報技術者試験とは、情報処理に関する基本的な知識や技能を保有していることを証明する国家試験。
指定試験機関であるIPA(情報処理推進機構)のWebサイトでは、「ITエンジニアの登竜門」と記載されています。
その名の通り、ITエンジニアやプログラマーなど、情報処理系の専門職に従事している、または従事しようとしている学生や社会人に向けられた国家試験です。
試験レベルは、ITパスポートよりもワンランク上。
ITエンジニアやプログラマーの実務に即したテクノロジ系の内容が多く出題され、より専門性が増します。
技術水準としては、IT全般に関する基礎的な知識を理解し活用できること、上位者の指導のもとシステムの構築やプログラムの作成ができることなどが挙げられます。
どんな試験?
基本情報技術者試験は、令和5年4月度試験より、以下の要項で実施される予定です。
試験には、科目A試験(旧午前試験)と科目B試験(旧午後試験)の2科目があり、各科目1,000点満点中600点以上を獲得しなければ、合格となりません。
どんな人が受けている?
IPAの統計によると、社会人、学生ともに受験者層の傾向が読み取れます。
情報処理系試験としてはワンランク下に位置付けられる、ITパスポート試験の受験者データと比較してみましょう。
【勤務先別】「ソフトウェア業」や「情報処理業」に従事している人が7割超 |
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社会人では、勤務先を解答した基本情報技術者試験の受験者のうち「ソフトウェア業」に従事する人が45%、「情報処理・提供サービス業」に従事する人が30%を占め、合わせると75%にも及びます。 ワンランク下のITパスポート試験では、「ソフトウェア業」と「情報処理・提供サービス業」に従事する人の割合を合わせても30%程度です。 基本情報技術者試験がより専門的な資格であると分かりますね。 |
※データ内、学生、無職、その他無記入は除く
【学生受験者】専門学生の割合が急増!高校生には専門性が高すぎる? |
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基本情報技術者とITパスポートともに、最も多い学生層は大学生。 ただし、基本情報技術者試験においては、専門学生がわずか1%差の39%を占めています。 一方、高校生は、ITパスポート試験を受験した学生のうち28%を占めますが、基本情報技術者試験では10%と、大きな減少。基本情報技術者試験では、実務的な内容も含まれ、高校生にはやや難易度が高いのかもしれませんね。 |
基本情報技術者試験の合格者は、IT化やDX化が進み、IT人材不足が叫ばれているなかで、企業や社会から重宝される存在となるでしょう。
基本情報技術者の資格を持つメリットとは?
基本情報技術者試験の対策は決して簡単ではないことが分かりました。
では、基本情報技術者の資格を持つメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
メリットとして挙げられるのは、以下の3つです。
より上位の情報処理試験合格のためのステップアップになる
<実際の声>
次のステップである応用情報技術者試験に合格することができた。また、これから受験予定の情報系スペシャリストの試験勉強に役立つと思いました。(20代男性/契約社員・派遣社員/ソフトウェア業)
基本情報技術者の資格を元に、上位の情報系の資格にステップアップできたので、受けてよかったと思います。 (40代男性/会社員/運輸・通信業)
IPAが主催する情報処理系の13の国家資格は、4つのレベルに分けられています。
基本情報技術者試験は、IPAが主催する情報処理系国家資格試験のなかで、レベル2に該当する試験です。
より高度のレベル3・4に該当する試験では、基本情報技術者を含む他の試験とおおよその試験範囲が類似しています。
そのため、基本情報技術者試験を受験することで、高度試験のための基礎知識や受験要領を掴むことができ、ステップアップとしても捉えられるでしょう。
就職や転職に有利になる
【学生】受験理由について「就職(転職)に有利だと思ったから」と答えたのは約半数 |
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基本情報技術者試験の合格者に対し弊社独自に行ったアンケート結果によると、学生の合格者のうち、受験理由について「就職(転職)に有利だと思ったから」と答えた人は、43%と約半数を占めました。 一方、ワンランク下のITパスポート試験では、受験理由について「就職(転職)に有利だと思ったからと答えた人は18%と、基本情報技術者試験の半分以下にとどまりました。 |
基本情報技術者の資格を持っていると、IT業界やIT系職種への就職・転職で有利になるでしょう。
大学生・専門学生の受験割合が多いのも納得ですね。
大きなアドバンテージになることはないですが、少なくとも「情報処理の一定の専門知識を有している」というプラスの印象を与えられるでしょう。
実績や条件が同様の候補者がいた場合、資格の有無で合否が決まることもあるので、取得しておいて損はありません。
資格手当の対象になることがある
<実際の声>
IT系の勉強は今まで全くしたことがなかったが、資格取得したことで自分のIT知識がついて自信になったとともに、会社からの報奨金も得ることができた。
(30代男性/会社員/金融・保険業)
試験に受かったことで、会社から資格手当がでて、基本給が向上しました。
(20代男性/会社員/情報処理・提供サービス業)
企業によっては、基本情報技術者試験に合格すると、資格手当の対象となるケースがあります。
特に、IT業界やIT系職種において、従業員の資格取得やスキルアップを促進するため、「レベル2以上」の情報処理系資格取得において、手当や支援金を設定している企業が多いでしょう。
実際に、基本情報技術者試験を受験した社会人のうち、ソフトウェア業や情報処理業に従事する人の割合が7割を超えるというデータがありました。
資格手当や支援金を得られることにより、モチベーションの維持もしやすくなりそうですね。
科目A(午前)試験と科目B(午後)試験って何?
基本情報技術者試験は、科目A(午前)試験と、科目B(午後)試験に分かれています。
いずれにおいても、CBT(Computer Based Test)方式が採用されており、各試験会場に設置されたコンピュータを使用して解答を行います。
従来の「午前試験」「午後試験」は、あくまでも試験の名称であり、令和2年のCBT方式導入とともに、各試験を別日に受験することも可能となりました。
各試験の内容は以下の通りです。
それぞれの試験について、以下で詳しくみていきましょう。
科目A(午前)試験について
IPAが公開する科目A試験のサンプル問題を紹介!①【オートマトン】 |
入力記号,出力記号の集合が{0,1}であり,状態遷移図で示されるオートマトンがある。0011001110 を入力記号とした場合の出力記号はどれか。ここで,入力記号は左から順に読み込まれるものとする。また,S1 は初期状態を表し,遷移の矢印のラベルは,入力/出力を表している。 |
ア 0001000110 |
イ 0001001110 |
ウ 0010001000 |
エ 0011111110 |
IPAが公開する科目A試験のサンプル問題を紹介!②【データベースの設計概念】 |
UML を用いて表した図の概念データモデルの解釈として,適切なものはどれか。 |
ア 従業員の総数と部署の総数は一致する。 |
イ 従業員は,同時に複数の部署に所属してもよい。 |
ウ 所属する従業員がいない部署の存在は許されない。 |
エ どの部署にも所属しない従業員が存在してもよい。 |
科目A(午前)試験は、試験時間90分、四肢択一式の全60問で、テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の3分野から構成されます。
科目A(午前)試験では、各分野についての基礎的な知識や計算問題などが、比較的「広く浅く」問われる傾向にあります。
それぞれの分野からの出題数は、以下の通りです。
テクノロジ系 | 41問 |
マネジメント系 | 7問 |
ストラテジ系 | 10問 |
テクノロジ系の出題割合が科目A試験の約3分の2を占めます。
出題形式はITパスポート試験とほぼ同じなので、「ITパスポートのテクノロジ系特化版」と考えると分かりやすいでしょう。
科目B(午後)試験について
IPAが公開する科目B試験のサンプル問題を紹介!【木構造(データ構造の種類)】 |
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次の記述中の□に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。ここで,配列の要素番号は1から始まる。 <問> 手続 order は,図の 2 分木の,引数で指定した節を根とする部分木をたどりなが ら,全ての節番号を出力する。大域の配列 tree が図の 2 分木を表している。配列 tree の要素は,対応する節の子の節番号を,左の子,右の子の順に格納した配列で ある。例えば,配列 tree の要素番号 1 の要素は,節番号 1 の子の節番号から成る配 列であり,左の子の節番号 2,右の子の節番号 3 を配列{2,3}として格納する。 手続 order を order(1)として呼び出すと、□の順に出力される。 |
ア 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14 |
イ 1,2,4,8,9,5,10,11,3,6,12,13,7,14 |
ウ 8,4,9,2,10,5,11,1,12,6,13,3,14,7 |
エ 8,9,4,10,11,5,2,12,13,6,14,7,3,1 |
科目B(午後)試験は、試験時間100分、多肢選択式の全20問で、出題分野はテクノロジ系のうち、「アルゴリズム・プログラミング」と「情報セキュリティ」の2つのみとなっています。
それぞれの分野からの出題数は、以下の通りです。
アルゴリズムとプログラミング | 16問 |
情報セキュリティ | 4問 |
アルゴリズムとプログラミングからの出題が5分の4を占めています。
実務でプログラミングを行う上で必要な知識が問われるため、初学者にとって、初見の場合は設問の意図が理解できないでしょう。
まずは科目A(午前)試験対策を十分に行なった上で、科目B(午後)試験対策をするのがおすすめです。
ITパスポートがなくても受けられる?受験資格はある?
基本情報技術者試験に、受験資格の条件は定められていません。
つまり、誰でも受験できる試験だということ。
また、基本情報技術者の下位資格として、ITパスポートがありますが、ITパスポートに合格していなくても基本情報技術者試験の受験は可能です。
実際に、基本情報技術者試験は、学生・社会人・高齢者まで様々な層が受験しています。
受験者の平均年齢は、毎年約25歳〜26歳前後となっていますが、過去最年少の合格者は9歳だそうです。
基本情報技術者試験は通年開催、全国で受験可能
基本情報技術者試験は、令和2年度の改訂によりCBT方式が導入され、全国の試験会場にて設置されたコンピュータで受験が可能となりました。
また、令和4年度開催分までは、上期・下期の2期開催でしたが、令和5年度からの新制度により通年開催に変更されます。
随時全国で開催されている試験の日程を選択して、各自オンライン予約を行うことで受験が可能です。
受験時期の選択肢が増えるため、各自のスケジュールを考慮し、計画的に試験対策が行えるようになりますね。
基本情報技術者試験の合格率と合格基準
基本情報技術者試験の合格率と合格基準について、詳しく解説していきます。
基本情報技術者試験の合格率
基本情報技術者試験の合格率は、令和元年度まで25%前後が相場となっていました。
しかし、令和2年度からは合格率が大きく上昇し、45%前後となっています。
この大きな変化には、以下の理由が考えられます。
- 令和2年度の春期・秋期試験が延期され、受験者の準備期間が延長された
- 令和2年度試験よりCBT方式が導入され、科目A(午前)試験・科目B(午後)試験それぞれの別日受験が可能となった
- 受験者数が減少した
決して、試験の難易度が下がったわけではないため、油断は禁物です。
さらに今後は、試験内容の改訂や通年開催への変化により、合格率が変化していくことも予測されるでしょう。
基本情報技術者試験の合格基準
基本情報技術者試験の合格基準は、科目A(午前)試験・科目B(午後)試験それぞれで1,000点満点中600点以上を取得することです。
採点方式はIRTに基づいているため、1問の配点が決まっているわけではなく、各設問の正答率などから配点が決定されます。
そのため、試験勉強の際は、6割ギリギリを目指すのではなく、8割前後は正解できるよう余裕を持って進めていきましょう。
どれくらい勉強が必要?
IT知識に自信がある人・実務経験者 | 50時間〜60時間 |
IT知識に自信がない人・初学者 | 150時間〜200時間 |
基本情報技術者試験では、情報処理に関する実務的な知識についても出題されるため、IT知識や実務経験があるかどうかで必要な勉強時間は変わってきます。
IT知識に自身がある場合とない場合に分けて、必要な勉強時間を見ていきましょう。
IT知識に自信がある場合
IT企業にすでに勤めていて実務を行なっている人や、IT知識に自身がある人の勉強時間の目安は、約50時間〜60時間です。
例えば、平日2時間、土日3時間の勉強時間を確保できる場合は、1ヶ月間程度で試験対策ができるといえます。
IT知識に自信がある場合、試験対策で覚えるべき用語や基礎的な項目の理解がすでにある状態なので、その分苦手分野や科目B試験の対策に時間を使えるでしょう。
とはいっても、基本情報技術者試験の試験範囲は広く、普段の実務や予備知識だけではカバーしきれない部分もあります。
試験内容をしっかりと確認し、計画的に勉強を進めていきましょう。
IT知識に自信がない場合
IT知識に自信がない人や、初めて情報処理分野に関して学ぶ人の勉強時間の目安は、約150時間〜200時間です。
例えば、平日2時間、土日3時間の勉強時間を確保できる場合は、最低約3ヶ月〜4ヶ月必要となります。
もちろん、毎日欠かさず勉強時間が確保できるわけではないので、余裕をもった勉強計画を立てましょう。
基本情報技術者試験では、情報処理に関してより専門的なテクノロジ系分野の出題割合が大きく、予備知識がなければ1からのインプットが必要です。IT知識に自信がない場合は、まず教科書やテキストを読み込み、しっかりとインプットした後に、過去問や予想問題の演習に移りましょう。
基本情報技術者試験の申込方法
基本情報技術者試験は、令和5年4月開催の試験より通年随時開催に変更されるため、基本情報技術者試験の申込方法についての詳細は、公式サイトをご確認ください。
参考:基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験の通年試験化|IPA
なお、受験申込受付開始時期は、令和5年3月頃の予定です。
しかし、通年随時開催・CBT方式のITパスポート試験と同様の申込方法となることが予測されます。
参考:受験申込-基本情報技術者試験・情報セキュリティマネジメント試験|IPA
試験に向けての準備〜試験当日の流れ
当日までの試験対策の進め方
試験対策に要する期間は、ITに関する事前知識があるかないか・初受験か再受験かどうかによって変わってくるでしょう。
どの場合においても、まずは試験要項やシラバスをしっかりと確認したうえで、テキストを用いて基礎知識や用語のインプットを行います。
試験範囲について一通りインプットが完了したら、過去問演習に進みます。
「テキストを一周するだけでは頭に入らない」という方は、自分自身の理解度に合わせて、2周〜3周と繰り返しても良いでしょう。
ただし、「インプットに時間をかけすぎて問題演習の時間を取れなかった」ということがないように、インプットにかける時間を事前に決めて取り組むのがおすすめです。過去問演習において、インプットできていなかった点や、不明点が出てきたら、テキストに戻り、知識や用語について確認します。
この流れを試験直前まで繰り返しましょう。
試験直前〜当日の試験開始までは、テキストを中心に、重要用語について最終確認を行います。
アプリや試験対策サイトなどの用語集を活用するのもおすすめです。
当日の試験実施の流れ
基本情報技術者試験は、令和5年4月開催の試験より通年随時開催に変更されます。試験方式にはCBT方式が採用されていますので、操作方法などが不安な方は、以下をご確認ください。
※令和4年度までの旧制度に対応する操作説明となっています。
合格発表については、例年、受験完了の翌月下旬頃にIPA公式サイトで公示されていました。
合格への近道は、ズバリ過去問の活用!
基本情報技術者試験は、決して簡単な試験ではありません。
そこで、合格への近道となるのが、過去問の活用。
過去に行われている基本情報技術者試験において、頻出分野の傾向はある程度決まっており、類似問題も多数出題されています。
試験に合格するためには、試験の傾向を掴み、試験に合った対策が最重要。つまり、最も効率の良い勉強法が、過去問演習なのです。
過去問の演習では、ただ単に問題を解くだけでなく、すべての選択肢について、しっかりと復習し、理解する必要があります。過去問のテキストやWebサイトを選ぶ際は、問題の選択肢全てについて、丁寧な解説が付いているものを選びましょう。
基本情報技術者試験のまとめ
基本情報技術者試験は、IPAが主催する情報処理系の国家試験の中で、レベル2に該当し、難易度は決して低くありません。
令和5年4月の試験からは、試験制度が大きく改訂され、科目A(旧午前)試験と科目B(旧午後)試験の2部構成となります。
また、全国の試験会場にて通年・随時開催となるため、自分のライフスタイルや仕事・学校の状況などに合わせた計画的な受験が可能となるでしょう。
改訂があるといえども、過去問の演習は重要です。
出題方式や頻出分野、出題傾向を把握するには、繰り返しの過去問演習が最も効率的。
試験の概要や実施要項については、IPA公式サイトを確認しつつ、公表されているサンプル問題も参考に、対策を進めていきましょう!