基本情報技術者試験の「午後」って何? B試験(旧午後試験)の内容や実技対策を詳細解説!
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この記事では、基本情報技術者試験を受けようとしている方々を対象に、「午後」試験について詳しく解説します。午後試験の内容や出題範囲、試験の重要性について理解を深めることで、合格への道筋を明確にしましょう。また、基本情報技術者試験を受ける前に知っておくべき準備や学習方法をお伝えするので、ぜひ本文をご覧ください。
基本情報技術者試験とは?
基本情報技術者試験は、情報処理分野における基礎的な知識や技術を持つことを証明する国家試験です。この試験は、一般的なコンピュータの基本的な知識からネットワーク、データベース、プログラミングなど、広範な領域をカバーしています。合格することで、基本的な情報技術の知識やスキルを有していることが証明できます。
試験概要
基本情報技術者試験は「CBT方式」により、随時実施されています。令和4年までは春と秋の年2回の開催でしたが、令和5年4月より随時受験が可能となりました。
主催の「独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)」によると、対象者像は「ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」とされています。 試験時間・出題形式・出題数は以下の通りです。
科目A(旧午前試験) | |
試験時間 | 90分 |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
出題数/回答数 | 60問/60問 |
出題分野 | テクノロジ系 マネジメント系 ストラテジ系 |
科目B(旧午後試験) | |
試験時間 | 100分 |
出題形式 | 多肢選択式 |
出題数/回答数 | 20問/20問 |
出題分野 | テクノロジ系 ・アルゴリズムとプログラミング ・情報セキュリティ |
科目A試験(旧午前試験)と科目B試験(旧午後試験)ともに得点率が60%以上であれば合格となります。
難易度
基本情報技術者試験は、情報処理技術者の試験の中では基礎的なレベルにあたる「レベル2」にとされています。レベル1である「ITパスポート試験」と、レベル3である「応用情報技術者試験」の中間レベルに相当します。
基本情報技術者試験の合格率は約25%であり、4人に1人しか合格していません。
基礎的なレベルと言っても初学者が簡単に合格できるものではなく、学習時間の確保が必要です。
学習時間
情報処理技術者の試験対策に必要な学習時間は、IT知識の程度によって大きく異なります。IT知識が全くない初学者が基本情報技術者試験に合格するために必要な学習時間は「約200時間」です。毎日2時間勉強したとしても3ヶ月以上かかりますので、コツコツと学習を続けることが大切です。
一方、ITの知識が十分にある人や、プログラミングなどの実務経験がある人は「約50時間」の学習で合格を目指せます。 ただし、これらの時間はあくまでも目安であり、合格のために必要な時間は人によって異なるため、自分の知識量に合わせて学習を進めましょう。
B試験(旧午後試験)とは何?
旧午後試験の概要
令和4年まで実施されていた「旧午後試験」の概要は、以下の通りです。
旧午後試験 | |
試験時間 | 150分 |
出題形式 | 大問 |
出題数/回答数 | 11問/5問 |
この試験では、大問(長文問題)が11問出題され、そのうち5問を回答します。
問題番号 | 分野 | 必須/選択 | 配点 |
1 | 情報セキュリティ | 必須 | 20点 |
2~4 | ソフトウェア・ハードウェア データベース ネットワーク |
4問中2問選択 | 各15点 |
5 | プロジェクトマネジメント サービスマネジメント システム戦略 経営戦略 企業と法務 |
||
6 | データ構造とアルゴリズム | 必須 | 25点 |
7~11 | プログラミング言語 (C、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフト) |
5問中1問選択 | 25点 |
この試験では、必須の問6「データ構造とアルゴリズム」と、問7~11から1問選択する「プログラミング言語」が得点の半分を占めます。したがって、プログラミングの対策が午後試験のカギでした。
また、長文問題であり、読解力も求められる試験であることが受験者にとって大きな壁となっていました。
令和5年4月からの変更点
令和5年度からの改定により、出題内容に変更がありました。大問が廃止され、全て小問となりました。また、選択問題はなくなり、全20問の回答が必須となります。
ストラテテジ系(経営全般)、マネジメント系(IT管理)は出題範囲から外れるため、B試験(旧午後試験)では出題されなくなりました。
試験時間は150分から100分に短縮され、出題数が増えるため、時間との戦いになるでしょう。
B試験出題分野「アルゴリズムとプログラミング」とは
B試験(旧午後試験)は、「アルゴリズムとプログラミング」「情報セキュリティ」の2分野から出題されます。「アルゴリズムとプログラミング」に関する問題が16問、「情報セキュリティ」に関する問題が4問で構成されます。プログラミングの配点が8割を占めるため、しっかりとした対策が欠かせません。
概要
以前の午後試験では、プログラミング言語はC、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフトから1つを選んで回答形式でした。しかし、令和5年4月以降のB試験では、プログラミングは存在しない仮想の言語である疑似言語で出題されます。これにより、特定のプログラミング言語に偏らず、普遍的で本質的な思考力を問う出題となっています。
出題される問題の例
「アルゴリズムとプログラミング」の分野は、大きく次の三つのカテゴリで構成されます。
- プログラムの基本要素
(型、変数、配列、代入、算術演算、比較演算、論理演算、選択処理、繰返し処理、手続・関数の呼出し など)
- データ構造及びアルゴリズム
(再帰、スタック、キュー、木構造、グラフ、連結リスト、整列、文字列処理 など)
- プログラミングの諸分野への適用
(数理・データサイエンス・AIなどの分野を題材としたプログラム など)
「独立行政法人情報処理推進機構(IPA)」が公開しているサンプル問題を見てみましょう。「プログラムの基本要素」の出題例です。
次のプログラム中の□に入れる正しい答えを、回答群の中から選べ。
ある施設の入場料は、0歳から3歳までは100円、4歳から9歳までは300円、10歳以上は500円である。関数feeは、年齢を表す0以上の整数を引数として受け取り、入場料を返す。 [プログラム] |
回答群 ア (age が 4 以上) and (age が 9 より小さい) イ (age が 4 と等しい) or (age が 9 と等しい) ウ (age が 4 より大きい) and (age が 9 以下) エ age が 4 以上 オ age が 4 より大きい カ age が 9 以下 キ age が 9 より小さい |
B試験出題分野「情報セキュリティ」とは
情報セキュリティは、情報の機密性や完全性、可用性を保護するための技術や手法の総称です。B試験の情報セキュリティの出題では、情報セキュリティの基本的な概念やセキュリティ対策の知識が問われます。情報セキュリティに関する法規制や脅威、対策技術などについての理解が求められます。
概要
情報セキュリティの出題では、セキュリティの脅威や対策に関する知識が問われます。具体的な問題は、情報の漏洩や改ざん、不正アクセスなどのセキュリティ上の課題に対する対策や対策の効果を考えることが求められます。セキュリティポリシーや暗号技術、アクセス制御など、情報セキュリティに関連する幅広いトピックが出題されます。
出題される問題の例
「情報セキュリティ」の出題範囲は「情報セキュリティの確保に関すること」と公表されています。
具体的には、以下の内容です。
- 情報セキュリティ要求事項の提示
- マルウェアからの保護
- バックアップ、ログ取得及び監視
- 情報の転送における情報セキュリティの維持
- 脆弱性管理
- 利用者アクセスの管理
- 運用状況の点検
こちらも「独立行政法人情報処理推進機構(IPA)」が公開しているサンプル問題を確認しましょう。「脆弱性管理」の出題例です。
製造業のA社では、ECサイト(以下、A社のECサイトをAサイトという)を使用し、個人向けの製品販売を行っている。Aサイトは、A社の製品やサービスが検索可能で、ログイン機能を有しており、あらかじめAサイトに利用登録した個人(以下、会員という)の氏名やメールアドレスといった情報(以下、会員情報という)を管理している。Aサイトは、B社のPaaSで稼働しており、PaaS上のDBMSとアプリケーションサーバを利用している。 A社は、Aサイトの開発、運用をC社に委託している。A社とC社との間の委託契約では、Webアプリケーションプログラムの脆弱性対策は、C社が実施するとしている。 最近、A社の同業他社が運営しているWebサイトで脆弱性が悪用され、個人情報が漏えいするという事件が発生した。そこでA社は、セキュリティ診断サービスを行っているD社に、Aサイトの脆弱性診断を依頼した。脆弱性診断の結果、対策が必要なセキュリティ上の脆弱性が複数指摘された。図1にD社からの指摘事項を示す <図1 D社からの指摘事項> (一)Aサイトで利用しているDBMSに既知の脆弱性があり、脆弱性を悪用した攻撃を受けるおそれがある。 (二)Aサイトで利用しているアプリケーションサーバのOSに既知の脆弱性があり、脆弱性を悪用した攻撃を受けるおそれがある。 (三)ログイン機能に脆弱性があり、Aサイトのデータベースに蓄積された情報のうち、会員には非公開の情報を閲覧されるおそれがある。 |
設問 図1中の交番(一)~(三)それぞれに対処する組織の適切な組合せを、回答群の中から選べ。 |
突破のポイントは?
B試験を突破するためには、十分な準備と対策が必要です。以下は、効果的な対策のポイントです。
- 幅広い知識の習得
アルゴリズムとプログラミング、情報セキュリティの両分野について広範な知識を習得しましょう。市販のテキストを活用して基礎からしっかりと学びましょう。
- 実践問題の解答
過去問や模擬試験などの実践問題を解きながら、問題の解答方法や試験時間の配分などを把握しましょう。実際の試験形式に慣れることが重要です。
定期的な復習と演習
学習した知識や技術を定期的に復習し、演習問題に取り組むことで定着させましょう。繰り返し学習することで理解が深まり、自信を持って試験に臨むことができます。
B試験(旧午後試験)の勉強方法は?
B試験(旧午後試験)の勉強を進める前に、基礎であるA試験(旧午前試験)の勉強を優先して行いましょう。B試験は応用力が問われる試験であり、基礎が身についている必要があるためです。
学習方法として、通学する方法と独学がありますが、当記事では独学について説明します。
市販のテキストを活用
B試験の対策テキストとして代表的なものに以下の4冊があります。
- うかる!基本情報技術者 [科目B・アルゴリズム編]
- うかる!基本情報技術者 [科目B・セキュリティ編]
- 情報処理教科書 出るとこだけ!基本情報技術者[科目B]
- 第4版 大滝みや子先生のかんたんアルゴリズム解法-流れ図と疑似言語
現在はまだ改定後の問題形式での過去問がほとんどないため、市販のテキストを使って知識を蓄えることをおすすめします。 また、プログラムは個別の言語ではなく、疑似言語で出題されますので、疑似言語の構文やルールを学習できる最新のテキストを用意しましょう。
過去問を活用
かつての午後試験では、過去問を使った対策が非常に有効でした。過去問を解くことで、実際の試験の傾向や出題スタイルを把握することができたためです。
令和5年4月以降は出題形式が大きく変わったため、過去問で実際の試験の傾向を掴むことはできませんが、「アルゴリズムとプログラミング」「情報セキュリティ」の過去問を解くことで、応用となる理解を深めることができます。IPAが公開しているサンプル問題と合わせて活用することで、試験当日に備えましょう。
まとめ
基本情報技術者試験のB試験(旧午後試験)について解説しました。
B試験としてリニューアルされた旧午後試験は、アルゴリズムとプログラミング、情報セキュリティの2つの出題分野があります。
試験に合格するためには、幅広い知識の習得と実践問題の解答、定期的な復習と演習が重要です。市販のテキストや過去問を活用しながら、効果的な勉強方法を実践してください。基本情報技術者試験の「午後」に対する準備をしっかりと行い、合格への道を切り拓きましょう。
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